起業に興味のない起業家
ネットビジネスが軌道に乗り始めた頃、
法人化の必要に迫られていることに気づいた。
個人のままやっていると税金が大変なことになることに気づいたからだ。
「起業」
これは僕にとって全くなじみのない言葉だった。
僕は自由になりたかっただけで、別にビジネスをやりたいわけでもなかった。
経営者という人種の哲学や人生に興味を持ったこともなかった。
ビジネス書も経済新聞も読まなかった。
起業家と宇宙人は僕の中でほぼ同義だった。
自分で事業を興せるような人間は、とてつもなく優秀で、
自分とは全く異なる脳構造や精神構造をもっているのだと思っていた。
本やネットで一生懸命調べて、
とりあえず法務局とやらにいけばいいのだと知った。
25万円ほど払えば誰でも社長になれるらしかった。
僕は法務局なんてものがあることすら知らなかった。
とりあえず書類を揃えた。
はんこも一番安いやつを買った。
会社名は迷った。
会社なんてどうでもよかったし、
節税のために便宜上作るものだったから、何の思い入れもなかった。
英語辞書をぱらぱらとめくってみたら、
なんとなくそれっぽい単語が目に入ったので、
深く考えずにそれを会社名にした。
代表取締役というところに自分の名前を書いて提出した。
その瞬間、社長とかいう人種に僕はなった。
学生時代、あれほど僕が忌み嫌っていた会社という組織のトップになった。
一時期資本論やプロレタリア文学に熱中し、
蟹工船のエッセーコンテストで賞金をもらったこともある僕が、
立派に資本主義の尖兵になった。
僕は思わず笑ってしまった。
今も社長と呼ばれると若干の居心地の悪さを感じる。
起業を志す学生に教えを請われることもある。
彼らの熱い思いに耳を傾けていると、
こんなニセモノが起業家なんかになってしまい申し訳ないとも思う。
正直僕は国家も社会も経済も興味がない。
よくテレビに出てくる経営者達がもつような使命感もない。
地位や名声を得たいという欲望もない。
僕と僕に関わる人間が幸せになればそれでいいと思っている。
一生自由にやりたいことだけやって暮らせればいいと思っている。
そのためにはお金が必要だから、効率のいい方法を選んでいるだけだ。
税金は収めるし、ルールは守るが、それ以上のことは考えていない。
国や社会に1億渡すくらいなら父ちゃんと母ちゃんに
1億渡したほうが100倍ましだと思っている。
だから野心をぎらぎらさせた起業家や、
国家社会のために心血を注ぐ起業家をみると、正直威圧される。
人前では大人しくしていようと思う。
会う人によく「オーラがない」なんて言われるのはそのせいかもしれない。
・はじめに
・第1部「僕の人生から就職が消えた」
・第2部「月収200万円の憂鬱」
・第3部「起業に興味のない起業家」
・第4部「燃え上がる家、没落の父」
・第5部「麗しき労働の日々」
・第6部「地獄のような労働との遭遇」
・第7部「労働、この恐るべきもの」
・第8部「システムの隅っこにあいた風穴」
・第9部「僕はアフィリエイトで生きていこうと思った」
・第10部「100万円という札束」
・第11部「資本主義のてっぺんらへん」
・第12部「香港旅行中にサラリーマンの年収分稼ぐ」
・第13部「手に入れた自由な人生」
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