レールを脱線した時のお話
僕がアフィリエイトを始めた最大の理由は、
雇われることに対する恐怖でした。
当時学生だった僕は、
バイト先のファミレスのサウナのような洗い場で、
汗と汚水と洗剤でぐちゃぐちゃになりながら
毎日毎日バカの一つ覚えみたいに皿を洗っていました。
時給は720円。
多分1日当たり数千枚は皿を洗っていたと思います。
バイト先の店長は30代前半の男性でした。
この人の労働環境はとにかく悲惨の一言でした。
開店から閉店まで、いつも13時間以上は働いていました。
休みは月に1~2回で、たまたまその日にバイトが休めばそれも失われました。
休憩時間は休憩室でご飯を食べるか、眠るかしていました。
とにかくいつ店に行っても店長がいました。
で、ときどき専務だの常務だの地区長だのという
人たちがやってくるんですよね。
彼らが店の入り口をくぐってやってくると、
それまで居丈高にバイトたちに指示を飛ばしていた店長が
急に凄まじい笑顔になり、「あああ、どうもぉっ」と
1オクターブ高い声で叫んで駆け寄りました。
一度専務に売上のことで扇子で引っぱたかれていました。
料理をしていたバイトたちが一斉に振り返るほど大きな音がしましたが、
店長はペコペコしながらそれでも笑顔でした。
「俺もさっさと出世して楽してぇなぁ」
「専務みたいに威張りちらかしてみてぇなぁ」
「売上上がらねぇかなぁ」
店長はよくそう言って休憩室で売り上げ日報をぱらぱらとめくっていました。
出世さえすれば幸せになれる…そう信じているようでした。
しかし僕はずっと疑問でした。
常務や専務といった会社のお偉い人たちはみんな40~50代でした。
つまり念願叶うころにはそれくらいの年齢になっているということです。
そしてお偉い人たちはお偉い人たちで、やっぱりいつも忙しそうでした。
店長はあんなものになるために、
まだあと10年も20年もこの生活を続けるのかなぁと思いました。
20やそこらの年齢だった僕にとって、それは途方もない長さに感じました。
で、たまたま本屋に行った時、
ある小説のタイトルが目に入ったんですよね。
僕はそれを見たとき、ちょっとショックを受けてしまいました。
「光あるうち光の中を歩め」というトルストイの小説でした。
僕はこのフレーズにすっかりやられてしまいました。
光あるうち光の中を歩め。
なんていいフレーズなんでしょう。
恥ずかしながらいまだに中身は読んでいないのですが…。
(一応買い置きしてます)
人生80年と言いますが、そのうちもっとも光ある時期というのは、
おそらく10代~30代ではないでしょうか。
一番気力体力ともに充実している時期です。
そういう限られた「光ある」時期を、
ひたすら狭い1個のファミレスの中で、
ルーチンワークに費やしてしまう店長の姿を見ているうちに、
僕の中に深刻な恐怖が芽生え始めました。
人間って本当にこんなに不自由に
生きなきゃいけないもんなんだろうか。
一度きりの自分の人生のうち、
こんなにもたくさんの部分を会社に
捧げなきゃいけないもんなんだろうか。
働いて食べて寝るという店長の生活は、
家畜や囚人と何が違うんだろうか。
(ホリエモンのメルマガを読んで知りましたが、
むしろ囚人のほうが文化的な生活を送っています)
別に店長自身はそれが当たり前のことだと考えているようでしたが…
仮にそれで食べるに困らない程度の給料をもらえたとしても、
それと引き換えに失われるものの大きさを思うと、
僕は目がくらむような思いでした。
もちろん定年まで頑張れば、退職金などももらえて、
それなりに自由な生活というものが手に入るかもしれません。
(体を壊さず、事故・災害を免れ、会社の業績も悪化せず、
無事定年まで勤め上げることができたらの話ですが)
しかし年をとって満足に体が動かなくなり、
人生のタイムリミットも見え始めた時期に「さあ自由だよ」と言われて、
いったいどれだけの選択肢が残っているのだろう?
すでに光ははるか後方へ遠ざかっているんじゃないか?
そう思ってしまうのでした。
もちろんお爺ちゃんお婆ちゃんになってからもなお
元気に活動している人もたくさんいて、
それはそれで結構なことだと思いますが、
僕はできれば20代~40代でそれをやりたいと思いました。
そうした葛藤を抱いているときに、
たまたまとある情報教材の販売サイトが目に触れてしまいました。
その作者は若くしてたっぷりの自由を満喫しながら、
ときどき旅行先でブログやメルマガで記事を書くだけで
途方もないお金を稼いでいました。
その姿はあまりにも眩しすぎて僕の眼はあっさりとつぶれました。
わずかに残っていた就職に対する義務感も根元からポッキリ折れました。
僕は大学⇒就職⇒定年といったいわゆる安定レールを派手に脱線し、
親や親せきや友人が引き止めるのもかまわず、
猛スピートで先の見えない藪の中を突き進んでいきました。
つづく…かも。
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著者プロフィール
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小説と音楽と旅行が大好きな30歳。
株式会社GRASP代表。
パチンコ狂の親を持ち、借金まみれの極貧の家庭で育つ。
皿洗いやレジ打ちなど、忙しいアルバイト生活を送る中で、自由を手に入れたいという欲求が抑えがたくなり、就職活動を放棄。
在学中にお金・知識・人脈ゼロの状態でインターネットビジネスで起業。
たった1人&パソコン1台で5年間で約3億円を売り上げる。
現在は働く必要がなくなり、セミリタイア。晴れて自由の身に。
音楽学校に通ったり、創作活動に打ち込んだり、好きな場所へ好きなだけ旅行したりと、趣味中心の生活を送っている。
個人が自由な人生を手に入れるための戦略・思考をブログ・メルマガで配信中。
2015年に電子書籍「自由な人生を手に入れる教科書」を出版し、Amazon総合ランキング1位を獲得。
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